02_イタリア PFM 国別

PFM / THE WORLD BECAME THE WORLD (甦る世界)

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メンバー

  • Franco Mussida:guitar, vocal
  • Mauro Pagani:flute, piccolo, violin, vocal
  • Jan Patrick Djivas:bass, vocal
  • Flavio Premoli:keyboards, vocal
  • Franz Di Cioccio:drums, vocal

  1. The Mountain マウンテン 10:44
  2. Just Look Away 通りすぎる人々 4:00
  3. The World Became The World 甦る世界 4:48
  4. Four Holes in the Ground 原始への回帰 7:25
  5. Is My Face on Straight 困惑 6:38
  6. Have Your Cake and Beat it 望むものすべては得られない 7:21

レビュー

1974年5月に発表された4作目で、世界デビュー盤の2枚目になります。本作は英語ですが、同時期にイタリア語版も制作して同時期に発表しています。

ベースが元AREAのパトリック・シヴァスに変わり、よりテクニカルな面が押し出されるようになったと思います。

The Mountain

イタリア語版の「L’Isola Di Niente」の英語版です。

男女混声の壮大な合唱から幕を明ける本作は世界進出2作目ということもあり、PFMの意気込みを感じることができます。

ギターのリフにベースとドラムが加わりますが、早速新加入のパトリック・シヴァスが存在感を見せます。ヴォーカルも力強い。ギターはバックで複雑なメロディーを奏でています。複雑な決めを含めながら進行し、場面はいつの間にかアコースティックギターにより穏やかな雰囲気に変わります。フルートのさえずり、メロトロンなどが幻想性を演出します。

曲は再び盛り上がりを見せ、変拍子を巧みに操り引き締まった演奏を見せ、再度ヴァースに戻りエンディングに向かいます。

PFMらしい緩急自在の展開はさすがといったところでしょうか。複雑な展開ながら各パートは極めてリラックスして演奏しているように見受けられます。

Just Look Away

イタリア語版の「Dolcissima Maria」の英語版です。

「朝目覚めてカーテンを開けた時にこの曲が流れたら、きっと素敵な一日になるだろうな」と思うような曲です(あくまでイメージです)。綺麗なキーボードからアコースティックギターにバトンタッチし、弾き語りで曲は進行していきます。イタリアの田舎の風景が目に浮かぶような優しい曲です。PFMのアコースティックギターによる美しい曲を展開する部分の良さが前面に押し出されています。

サビや間奏で「ラララー」とハミングする曲は数多く存在しますが、パッと思いつく名曲はThe BeatlesのHey Judeではないでしょうか(Hey Judeは正確には「ナナナー」ですかね)?一度聴いたら忘れることの無いメロディー。本曲のサビで歌われる「ラララララー」のメロディーもHey Judeに負けない位キャッチーで心に響く素晴らしいメロディーだと思います。

曲の後半からバンド演奏に。ピッコロ(フルート?)、ギターによる「ラララー」の美しいメロディーと、バックで流れるメロトロンがとても綺麗。派手な部分を押し出さなくても、PFMが良いバンドであることを感じることができる曲ではないでしょうか。

The World Became The World

原曲は1枚目の「Impressioni Di Settembre」で、これの英語リメイク版になります。勝手な推測になるのですが、本曲は恐らく前作「幻の映像」を制作するにあたり、収録する候補には入っていたのではないかと思っています。それだけ良い曲なのですが、曲構成等の問題で泣く泣く収録を断念して、ようやく本作で再録音されることになったのではないでょうか。根拠にはなりませんが、本作以降イタリア版の再収録曲はありません。

再録音された本曲は、サビの部分のメロトロンが洪水のようにあふれ出ておりイタリア版よりもよりリッチなサウンドになっています。基本的な曲構成はイタリア版と変わらないのですが、エンディングのサビの演奏は何度も繰り返し演奏されています。「長すぎ」と捉えるか、「リッチなメロトロンサウンドを堪能できて最高!」と捉えるかで評価が分かれそうな部分はあります。

曲が良いので英語版、イタリア語版の聴き比べをすると非常に面白いです。聴き比べをすると、「イタリア語で歌われている曲を英語でリメイクして作成しているにも関わらず、英語のメロディー、語呂にぎこちない部分が無い」という事に気付きます。「英語詩を作成したピート・シンフィールドの手腕によるもの」なのか、「PFMの英語の発音等が良いから」なのか、いくつか要因はあるのでしょうが、これは結構凄いことだと思います。母国語で制作した曲を英語でリメイクしたバンドの成功例ですね。

Four Holes in the Ground

イタリア語版の「La Luna Nuova」の英語版です。

民族音楽を思わせるような5拍子のリズムにヴァイオリン、ピアノが被さりメロディーを奏でます。超絶演奏が繰り広げられるものの、それぞれの楽器の音がそこまで高音を強調していない割とマイルドな音であるため、どこか和やかさも感じられる不思議な演奏です。途中のフランツ・ディ・チョッチョの数秒のドラムソロも一級品。数秒のフレーズながらもセンスとグルーブを感じます。

メロトロン、ピアノによる盛り上げが感動的なヴォーカルパートから、お祭りのような明るいパートに移行する様も見事。間奏を挟み、巧みな曲構成でいつの間にかメインメロディーが再来し、最後の盛り上がりを見せます。

COOKに収録されているライブバージョンは、本曲よりもさらにロック色を増した演奏をしており、こちらも必聴です!

Is My Face on Straight

PFM得意のギターアルペジオから複雑なキメ。どのように曲が展開されるか想像つかない雰囲気ですが、本曲は場面場面で表情を変え、バンドアンサンブルを楽しむことができます。場面転換には不自然さが全くなく、必然的にこのように仕上がったとさえ思える展開、作曲能力は「さすが!」と唸るばかり。

Have Your Cake and Beat it

イタリア語版の「Via Lumiere」の英語版です。

パトリック・シヴァスのウッドベースのソロから始まります。当たり前と言えばそうなのですが、どこかAREAの1作目の匂いを感じます。その後はジャズロック要素を感じさせる演奏で進行していきます。ギターのカッティングの音が心地よい。

荒々しいフルートソロの後(恐らくフルートにワウをかけて演奏している)、アルバムを締めくくる壮大な演奏で幕を閉じます。「蛍の光」のような、どこか悲しさを感じる名演です。

 

PFMをおススメするにあたり、最初の1枚としては前作の「幻の映像」になると思うのですが、本作も「幻の映像」に負けず劣らずの名盤だと改めて感じました。前作から大きな変更点としては、やはりベーシストの交代が大きいと思います。「The Mountain」のヴァースの力強いベースであったり、「Four Holes in the Ground」に見られる超絶技巧を駆使した演奏などはPFMの新たな魅力の一部となっていると思います。

「幻の映像」は過去作品のリメイク版として捉えることができるため、本作が世界で評価される必要があったわけですが、見事この課題をクリアする素晴らしい作品となっております。複雑な曲であろうと、スローテンポの穏やかな曲であろうと随所にPFMらしさが散りばめられており、充分に彼らの魅力を堪能できる傑作です。

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